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KPI管理表の作り方。列の決め方と、更新が止まらない運用ルール

| タスクマン編集部

KPI管理表を作ったところまでは覚えているのに、3か月後に開いてみると現在値の列が2か月前のまま止まっている。会議の前日に慌てて数字を集めて埋め、そのまま次の会議まで誰も触らない。KPI管理表でよく起こることです。

  • 目標値の列は埋まっているのに、現在値がいつのものか分からない
  • 数字を出すのに、毎回いくつかのツールを開いて転記する必要がある
  • そもそも、その指標を誰が更新する担当なのかが決まっていない

原因は表のデザインではなく、更新のたびに誰かの判断が必要な表になっていることのほうにあります。この記事では、KPI管理表に置く列の決め方と、更新を止めないための運用ルールを順番に説明します。最後に、日々のタスクとKPIを紐づけて転記そのものを減らす方法にも触れます。

KPI管理表の更新が止まる3つの理由

更新が止まった表を見ていくと、原因はだいたい次の3つに分かれます。

1つめは、数字の出どころが表の外にあることです。「問い合わせ件数」とだけ書かれた行があっても、それをどこから何日分数えるのかが表に書かれていなければ、更新する人が毎回その場で決めるしかありません。決めた基準は人によって違うので、先月と今月の数字が比べられなくなります。

2つめは、更新のタイミングが決まっていないことです。「随時」と書かれた指標は、更新されないまま残りがちです。日次なのか、週次なのか、月末締めなのかが決まっていないと、更新のきっかけが会議の予定しかなくなります。

3つめは、指標の数が多すぎることです。表を作るときは網羅したくなりますが、指標が20行あれば、1回の更新で20行ぶんの数字を集めなければなりません。更新がまとまった作業になった時点で、忙しい週から順に後回しになります。

つまり、KPI管理表を続けるかどうかを決めているのは、指標の中身よりも1回の更新にかかる手間のほうです。手間を減らすには、更新のたびに考えることを列としてあらかじめ書いておく必要があります。

KPIを1つ記述するのに、どんな項目が必要か

何を列にすればいいかは、国際規格が参考になります。ISO 22400-2:2014(製造業の運用管理向けのKPI規格)は、KPIを1つ記述するための項目を表の形で定めています。規格が挙げている項目は次のとおりです。

表の前半には、Name(指標名)、ID(利用者が決める一意の識別子)、Description(短い説明)、Scope(その指標が対象とする要素)、Formula(計算式)、Unit of measure(単位)、Range(論理的に取りうる上限と下限)、Trend(高いほど良いか、低いほど良いか)があります。

表の後半には、Timing(リアルタイム/要求時/定期的のどれで計算するか)、Audience(ふだんその指標を使う人の区分)、対象とする生産方式、指標を構成する要素の依存関係を示す図、Notes(制約や使い方などの補足)が続きます。

この規格は製造現場の運用管理を対象にしたものなので、生産方式のように、そのまま社内のKPI管理表に持ちこめない項目もあります。ただ、計算式・単位・範囲・良い方向・更新タイミング・見る人の6つは、業種を問わず効いてきます。先に挙げた「更新が止まる3つの理由」のうち、1つめと2つめは、計算式と更新タイミングが表に書かれていないことから起きています。残る1つ(指標の数)は、後半の運用ルールの章で扱います。

KPI管理表に置く7つの列

業種を問わない6項目(計算式・単位・範囲・良い方向・更新タイミング・見る人)に指標名と説明を足し、単位と範囲を1列にまとめると、社内の表は次の7列に収まります。この7つを新しいシートの1行目に横並びで置けば、KPI管理表の骨組みになります。

列 何を書くか 例
指標名 短く、社内で通じる呼び方 商談化率
説明 その指標が何を表すか、1文で 問い合わせのうち商談に進んだ割合
計算式 どのデータをどう計算するか。データの置き場所まで書く (CRMの商談一覧を当月作成でフィルタした件数)÷(フォーム受信の当月件数)
単位と範囲 単位と、論理的に取りうる上限・下限 %(0〜100)
良い方向 高いほど良いか、低いほど良いか 高いほど良い
更新タイミング 日次/週次/月次のどれか。締めの日も 月次(翌月3営業日目)
見る人 ふだんこの数字を見て動く人 営業リーダー

例の列は、すべて「商談化率」1つを縦に並べたものです。実際のシートでは、左の「列」を1行目に横並びにして、2行目から指標を1行ずつ足していきます。

目標値と現在値の列は、この7列の右側に月ごとに足していきます。骨組みの列(表の左側)は一度決めたら変えず、右側だけが増えていく形にすると、過去の数字がずれません。

IDの列は、KPIの数が20を超えたり、複数の部署で同じ名前の指標を使っていたりする場合にだけ足せば十分です。

列を埋める順番は「計算式」から

7列を左から順に埋めていくと、たいてい途中で止まります。先に埋めるのは計算式です。

計算式から書き始めると、測れない指標がその場で見つかります。「チームの連携度」のように計算式が書けないものは、KPIとして持っていても更新できません。この段階で「連携度」を「週次ミーティングの議事録が翌日までに共有された割合」のように言い換えるか、指標そのものを落とすかを決めます。

計算式を書くときは、どのツールのどの画面から数字を取るかまで書いておきます。「商談化数 ÷ 問い合わせ数」ではなく、「(CRMの商談一覧を当月作成でフィルタした件数)÷(フォーム受信の当月件数)」まで書く、ということです。ここまで書いてあれば、担当が代わっても同じ数字が出ます。

計算式が決まれば、単位と範囲、良い方向は自動的に決まります。更新タイミングを左右するのは、計算式に出てくるデータがいつ確定するかです。月末締めのデータを含む指標を週次で更新しようとしても、確定していない数字を毎週書き写すことになるだけです。

更新を止めないための3つの運用ルール

列がそろっても、運用の側で決めておくことが3つあります。

指標ごとに更新の担当を1人決める

チームで更新する、という決め方は、担当を決めていないのとほぼ同じです。指標1つに対して担当を1人決め、骨組みの7列の右端に「担当」の列を足して(月ごとの目標値・現在値より左に置きます)名前を書きます。「見る人」は、その数字を見て動く人。「担当」は、数字を用意して、動かなかったときに理由を説明する人です。同じ人になることもありますが、列は分けておきます。担当を入力係にしてしまうと、入力だけが回って中身の議論が起きない表になります。

見る場を先にカレンダーに入れる

更新のきっかけが「気づいたとき」だと、更新は止まります。週次の朝会でも月初の定例でもかまわないので、表を開いて数字を読む場を先に予定として入れておきます。更新タイミングは、この予定の直前になるように決めます。月次の指標なら、締めのあと、数字が確定する日に30分の枠を取り、その場で数字を入れてから読む、という並びにすると、更新と会議が1回で済みます。

指標は3〜5個から始める

最初から網羅しようとせず、まず3〜5個で回してみて、1回の更新にどれくらいかかるかを測ります。実際にかかった時間が分かってから足すほうが、途中で止まる表になりにくくなります。指標を足すときは、代わりに1つ落とせないかを先に考えます。

タスクとKPIを紐づけると、転記が減る

ここまでの話を突き詰めると、行き着くのは「数字を転記しなくても更新される状態にできないか」です。計算式に出てくるデータが、そもそも日々のタスクの中にあるなら、転記はいらなくなります。

タスクマンには、この考え方に沿ったゴール管理の機能があります。

  • プロジェクトにKGI(重要目標)を1つ設定し、その下に複数のKPIを紐付けられます
  • KPIにタスクを紐付けると、完了タスク数と総タスク数から進捗が自動で追跡されます
  • KPI間にウェイト(重要度)を設定でき、重みをつけた平均で全体の進捗が計算されます

KPIの下にぶら下がっているタスクを普段どおり完了にしていくだけで、進捗の数字が動きます。別の表を開いて転記する工程が1つ減るので、先に挙げた理由のうち「数字の出どころが表の外にある」がなくなります。更新のきっかけも、会議の予定ではなく日々のタスクの完了になります。

ただし、すべてのKPIがタスクの完了数で表せるわけではありません。商談化率のように外部のデータから計算する指標は、これまでどおり計算式と更新タイミングを列に書いて運用します。タスクの積み上げで表せる指標はツール側に任せ、外部データが要る指標だけ表に残す、という分け方が現実的です。

なお、プロジェクト全体の進み具合を管理する表については、進捗管理表のテンプレートを探す前に。決めておく5つの項目で、別の観点から整理しています。

まとめ

KPI管理表が更新されなくなるのは、指標の選び方より、1回の更新にかかる手間のほうに原因があります。

  • 列は7つ(指標名・説明・計算式・単位と範囲・良い方向・更新タイミング・見る人)から始める。ISO 22400-2の項目を社内向けに絞ったものです
  • 埋める順番は計算式から。計算式が書けない指標はその場で言い換えるか落とす
  • 運用では、指標ごとの担当・表を読む場・指標の数の3つを先に決める
  • タスクの完了数で表せる指標は、ツール側でタスクと紐づけて転記をなくす

まずは3つの指標で、7列の表を1枚作ってみてください。1回目の更新にかかった時間が、その表を続けられるかどうかの答えになります。

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