ガントチャートの作り方|5つの手順と、引く前に決める2つのこと
プロジェクトの担当になって「ガントチャートを引いておいて」と言われたものの、何から手をつければいいのか分からない。この記事では、最初の1本を引くための手順をまとめます。テンプレートを開いたのに手が止まる、という状態でも同じです。埋まらないのはテンプレートのせいではなく、その前に決めておくことが2つ残っているからです。
作り方そのものは、実はそれほど難しくありません。詰まるのは引いたあとです。2週目には誰も開かなくなったガントチャートは珍しくなく、その原因はたいてい2つに絞れます。タスクをどこまで細かく分けるか(手順1)と、誰がいつ更新するか(手順5)です。この2つは、バーを引きはじめる前に答えを決めておかないと、あとで引き直しになります。手順と一緒に、そこも決めていきます。
ガントチャートを構成する部品
ガントチャートは、縦にタスク、横に時間軸を置いて、それぞれのタスクの期間を横棒(バー)で示した図です。部品に分けると5つあります。
- タスクリスト: 縦に並ぶ作業の一覧
- 時間軸(タイムスケール): 横方向に並ぶ日付や週
- バー: タスクの開始日から終了日までを示す横棒
- マイルストーン: 納品日やレビュー日など、動かせない日付の目印
- 依存関係: 「Aが終わらないとBを始められない」という前後のつながり
ガントチャートとよく並べて語られるものにWBS(Work Breakdown Structure、作業分解構成図)があります。WBSは、やることを漏れなく洗い出して階層に整理したものです。WBSが「何をやるか」を決めるのに対して、ガントチャートは「それをいつ、誰がやるか」を時間軸の上に置きます。順番としてはWBSが先で、その一覧に日付と担当を入れたものがガントチャートになります。
作る手順は5つです
ここでは「Webサイトのリニューアル」を例に1本通してみます。
1. タスクを洗い出す
まず、やることを縦に並べます。この時点で見るのは「抜けがないか」だけです。
- 要件の整理
- ワイヤーフレーム作成
- デザイン
- 実装
- テスト
- ◇ 公開日(動かせない日)
あとから行を差し込むと、決めた日付と順序をやり直すことになります。どこまで細かく分けるかは手順5のあとにまとめて書くので、ここでは思いつくかぎり並べておけば大丈夫です。
2. 順序と依存関係を決める
並べたタスクを、実行できる順に整理します。「デザインが終わらないと実装を始められない」のような前後関係に印をつけておくと、あとで日付を動かすときに、どこまで連鎖するのかが分かります。前後関係を線で結ぶ機能がなくても、並び順とひとことのメモで持てば足ります。
つながったタスクをたどっていったとき、所要日数の合計がいちばん大きくなる経路をクリティカルパスと呼びます。この経路上のタスクが1日遅れると、プロジェクト全体が1日遅れます。逆に、この経路の外にあるタスクは、前後にある余裕の範囲で遅れるぶんには納期に響きません。ただし余裕を使い切ると、そちらが新しいクリティカルパスになります。
3. 期間と担当を入れる
各タスクに開始日・終了日と担当者を入れます。ここで2つ気をつけておくと、あとの手戻りが減ります。
1つは、土日祝を作業日に数えないことです。「デザインに10日」をそのままカレンダーの10日として置くと、月曜に始めて翌週の水曜には終わる計算になります。ところが実際に手が動くのは平日だけなので、10日ぶんの作業には2週間かかります。この2日のずれが、行の数だけ積み上がります。もう1つは、1つのタスクに担当者を1人だけ置くことです。2人以上が並ぶと、どちらが動かすのかが決まらないまま止まりやすくなります。
4. バーを引く
開始日から終了日まで横棒を引きます。表計算ソフトなら、日付の並んだ列の該当セルを塗るのがいちばん簡単です。専用ツールなら、開始日と期限を入れた時点でバーとして表示されます。
マイルストーンは◇など別の形にしておくと、ひと目で区別がつきます。今日の位置に縦線が入っていれば、遅れているタスクは線の左に取り残されたバーとして見つかります。さきほどの6行なら、「要件の整理」から順に右へずれたバーが並び、その右端に◇の公開日が立ちます。
5. 更新のしかたを決める
手順としては最後ですが、決めるのはバーを引きはじめる前です。ここを飛ばしたガントチャートが、2週目に開かれなくなります。
誰が、いつ、どこを更新するのか。「毎週月曜の朝会で、各担当が自分の行だけ触る」のように、人と頻度と範囲をセットで決めておくと、あとで押しつけ合いになりません。
詰まるのは、たいていタスクの粒度です
洗い出したタスクをどこまで細かく分けるかで、そのあとの手間がほぼ決まります。ひとつの目安として挙げられるのは、1本のバーが1〜2週間に収まるくらいの大きさです。
半日単位まで刻むと行数が増え、更新が追いつきません。逆に「開発」のような1か月以上のバーにすると、進んでいるのか止まっているのかが終わる直前まで分かりません。遅れに気づける最小の単位まで分ける、と考えると決めやすくなります。
もう1つは、長さをそろえることです。3日のタスクと2か月のタスクが同じ画面に並ぶと、どこを見れば全体の状況が分かるのか読み取れません。同じ階層のタスクは同じくらいの長さにそろえる、というところから始める方法があります。
2週目に開かれなくなるのは、ここです
引いた直後のガントチャートには価値があります。実態と合っているからです。ところが更新が止まると、書かれた日付だけがその場に残り、現実のほうが先へ進みます。しかも見た目は何も変わらないので、ずれていることに誰も気づきません。
更新が止まるのは、面倒だからというより、誰の仕事なのかが決まっていないという面が大きいようです。効くのは、更新する場を既存の会議に重ねてしまうことです。朝会の冒頭で画面を開くことにしておけば、個人が「更新しなきゃ」と思い出す必要がなくなります。
もう1つ効くのが、更新する箇所そのものを減らすことです。すべてのタスクに正確なバーを引く必要はありません。納期に関わるものと、他のチームを待たせるものだけを時間軸に載せ、残りは一覧やボードで見る形にすると、更新の負担が下がります。カンバンとガントチャートのどちらで何を見るかは、カンバンとガントチャートの使い分けで整理しています。
エクセルで作るか、ツールで作るか
作る手段は、手書き(紙やホワイトボード)・表計算ソフト・専用ツールの3つです。手書きは、数週間で終わる小さな仕事をその場で見せるには十分ですが、日付が動くたびに引き直しになります。実際に迷うのは、残りの2つです。
表計算ソフトの強みは、すでに全員が使えることです。セルを塗ってバーにするだけで形になり、新しく覚えることもありません。弱点は更新のほうに出ます。行を差し込むたびに書式がずれ、日付を動かせば後続のタスクは手で直すことになります。ファイルが複製されると、どれが最新なのか分からなくなる問題も起きます。
専用ツールは、日付や進捗の更新が入力だけで済み、全員が同じ画面を見られます。依存関係を登録すると、前のタスクに合わせて後続も動くところまで持っているツールもあります。そのぶん、チームに使ってもらうまでの導入の手間はかかります。
分かれ目になるのは、チームの人数と、変更の多さです。数人で日付がほとんど動かないプロジェクトなら表計算で足ります。担当者が増えて、週に何度も日付が動くようなら、更新のコストがそのまま効いてきます。表計算で続けるかどうかの分かれ目は、エクセルのタスク管理の限界で3つの基準にまとめています。
タスクマンでガントチャートを引く場合
タスクマンは、リスト・カンバンボード・カレンダー・ガントチャートの4つの表示モードを切り替えて使えるクラウド型のタスク管理ツールです。ガントチャートまわりでは、次のように使えます。
- タスクに開始日と期限を入れると、そのままガントチャートのバーとして時系列に表示されます
- 表示モードを切り替えても同じタスクを見ているので、ガントチャート用に別の表を作る必要がありません
- 担当者を指定でき、担当者別のカンバン表示に切り替えれば持ち分の偏りも確認できます
- 大きなタスクはサブタスクに分けられるので、バーに載せる単位と、その中の細かい作業を分けて持てます
- 進捗の見かたを足したい場合は、カスタムフィールド(プロジェクトごとに追加できる管理項目。文字・数値・日付・チェック・選択肢から選べます)を作り、その値で絞り込みや並べ替えができます
手順1〜4で決めたこと(タスク、順序、開始日と期限、担当)をそのまま入れれば、ガントチャート用の表を別に作らなくても1本目が引けます。
まとめ
- ガントチャートは、タスクリスト・時間軸・バー・マイルストーン・依存関係の5つの部品でできています
- 作る手順は、洗い出し → 順序と依存関係 → 期間と担当 → バー → 更新のしかた、の5つです
- 詰まりやすいのはタスクの粒度で、1本のバーが1〜2週間に収まるくらい、という目安がよく挙げられます
- 更新の約束と粒度の2つは、バーを引きはじめる前に決めておくと引き直しになりません